たゆたゆんです
踏切
日暮れを告げる鐘。
校舎裏、制服が転がる。
泥まみれの白い肌のマネキンにそっと触れるように声をかける。
ボロボロのスカート。でもそれよりも酷いのは彼女の話し方。
詰まり詰まり、何を言ってるのか理解するのは難しかった。
しっかりと耳を傾ける。
もう嫌だ。帰りたくない。何で私だけと嘆きうっていた。
踏切の前に立って、私をわかってくれる人なんていない。
そんな彼女に僕は「友達になるよ」そう宣った。
彼女は、歩みを始めてくるりと翻る。海の青が輝く鮮やかな風がそよぐ。
「ありがとう」
満足そうな笑顔で、彼女は風にさらわれた。
僕はその彼女を見て、不思議と勇気が湧いた。辛かったら、逃げてもいいと言う勇気。
気狂いと思うだろうか。しかし彼女の笑顔は、海より広く満足げだった。
それに知っている。
今日置かれた本物の花瓶は、偽物なんかよりも、咲き誇っていた。
僕は踏切の前に立ち、顔を上げる。
勇気を一歩、僕は思い切り踏み締めた。踏切を飛び越え、鮮やかな風が吹き抜ける。
「ありがとう」
そう告げると僕の背中で、ふふと君が笑った。
たゆたゆ