私が天下のロードレーサーですよ。ンッフ

8時15分。

涼しかった家を飛び出し、自転車のペダルに足をかける。今日もジリジリと太陽が照りつける中、俺の金髪が風に靡く。

今日こそはキャンパスに続くあの坂を登りきる…。稽古に自転車で通う生活を始めてはや一週間。幾度となく勾配のキツイあの坂に苦しめられた。道のり・体力配分・漕ぎ方を研究し、そして俺は強くなった。自転車を降りて押して歩くのは、もううんざりだ…!!

だがしかし、今日の俺には懸念点がある。昨日、球技大会があったのだ。こっちのチームは人数が少なく相当な体力を削られた。なんつたって一番大きな声で応援したからな。え、声と体力は関係ないだろって?もう俺は年なんだ。大声出すだけで体力を奪われる。バスケに数分出たが、それだけでバテた。一回生はあんな元気に走っていたというのに…。年齢には勝てないものだ。

そんなハンデを背負いながら今日も挑む。ジリッと滲む汗を拭いながら。

そして、ついに坂に差し掛かる。最初の方は勾配がキツくない。だから座り漕ぎで体力を温存。自転車生活を始めた頃は何も考えずに初っ端から立ち漕ぎをして体力を奪われた。これも鍛錬の成果。

だが、それでも体力は奪われる。体が悲鳴を上げ出し始める時に、難関がやってくる。

勾配がキツく森のくさいニオイに包まれた 上奈佐原〜西の口 の坂だっ!!

ここからはずっと立ち漕ぎでないと足がやられる。俺はいつもここで打ち砕かれる。今日こそは!と言わんばかりの勢いで駆け上がっていく。なんとしでも成し遂げると誓ったのだから。しかし、徐々に漕いでいくうちに、息が…足が…。歩いたら楽になる…

『もう無理かも』

そう感じた時、自分の前に座り漕ぎで坂を登るおじさんがいたのだ。

この坂を座って漕ぐだと…!?有り得ない。電動自転車でもないのに。このおじさんは何者なんだ。

俺はおじさんに負けてたまるかと、気持ちを入れ替えた。自転車を漕ぎ続け、なんとか難関を乗り切る。初めて歩かずに乗り切ったのだ。

疲れてゆっくり自転車を漕いでいると、後ろからおじさんが声をかけてきた。

「関大まで上がるんか?君、たくましいな。電動かと思ったら電動ちゃうんか。頑張ってな」

『おっちゃんあんたの方がたくましいぜ…』と内心思いながら、「ありがとうございます」と返した。

西の口からは敷地内を走る。バスと同じ道を行くのはあまりに険しい道のり。これは昨年同じく自転車で稽古に行っていた友からの教えだ。やはり持つべきものは友だな。

そこからの長く続く坂を登り、颯爽と大道具倉庫の前に自転車を止める。今日は一度も降りなかった。俺は闘いに勝ったのだ。フォーーーーー!汗だくでS棟の扉を開ける。冷房が俺の勝利を祝ってくれていた。

そう私が、天下のロードレーサー・まさきですよ。ンッフ

これからも暑さとの闘いは続く